なんてったってシスター!



この季節。どんなに気を付けていても外出をしていれば決して低くない確率でかかってしまうのが──風邪である。

ダークウルフの言う通り風邪にかかってしまったからという理由だけで元の基地ではなくエックス邸の一室を借りて安静にするなど大袈裟な話かもしれないが、スピカが普段共に過ごしている相手はかの神々が傑作と自負する人間兵器──たかが風邪されど風邪、人間とは少しばかり異なる彼らの治療はやはりそう容易いものでもないらしく。

「しょうがねーだろ」

スピカは気怠そうに上体を起こして。

「万が一にでもうつったら風邪薬じゃあどうにもならねーことになるんだから」

それはそう。ダークウルフは肩を落とす。

「あっいたいた」
「にぃにったら大丈夫?」

扉を開けて入ってきたのはルーティである。その後ろからひょいと覗いたのはピチカ。

「ピチカ!」

体調不良も跳ね飛ばすこの変わりよう。

「……と、ルー」
「そんなついでみたいに」
「リンゴ買ってきたんだけど食べられそう?」
「ピチカが食べさせてくれるなら!」
「元気そうだね」

ルーティは苦笑い。

「リーダーもこんな調子だし帰ろうぜぇ」
「あ、あれは強がっているだけだ!」
「盲目にも程があるだろ」
「それはそれとして」

ダークファルコは腕を組みながら。

「リーダーが居ない間の仮のリーダーは一体誰が務めるんです?」
 
 
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