なんてったってシスター!



ピチカは思わず目を開いた。

一段と暗いその部屋の奥の玉座には終始無言無表情でマスターが脚を組み鎮座している。一方倒れ伏している影が三つ──ダークルカリオ、ダークミュウツー、ダークプリンだ。そしてまるで首根っこを掴まれて吊るされているかのような姿勢で高く持ち上げられていたのはあのダークピチューだった。その下で見つめているのはクレイジー。恐らく彼の仕業だろう。

「た、助けないの?」
「ゔえっ!?」

ダークフォックスは声を上げた。

「静かにしてください」
「、ピチカちゃん……俺ら関係ないじゃん」
「そ……そうかもしれないけど……」

ピチカは一度視線を外したがそろそろと戻して。

「……いつも、なの?」
「失敗すればもれなくついてきますよ」
「ハッピーセットかよ」

ダークピチューは苦しそうに身を捩らせてはくはくと口を動かしている。どんな失敗をすればこんな仕打ちを受けるのか知らないが苦しみもがく姿にクレイジーはご満悦のようで。お気に召したのであれば解放すればいいというのに彼のことだ甚振り弄んでいるのだろう。

「ありゃ終わんねーな」
「一度基地に戻りますか?」


そうだよ。


「う、……うん」

電気の扱いだって半人前。行ったところで何か出来るはずもない。寧ろこの人たちを困らせちゃうだけ。この場に居合わせたのが賢い人ならきっとタイミングを見計らって有利に展開を運ぶ。

「行きましょう」


ううん。……違うよね。


「ピチカちゃん?」

あの人たちが苦しいのは今だよ。

タイミングなんて関係ない。


──助けるのは、絶対に今しかない!


「ちょ、」

青の閃光が迸る。駆ける。

「ピチカちゃん!」


何も出来なくたっていいの。後悔するよりずっといい。ただの女の子じゃないもん。

戦士だもん。


リーダーだもん!
 
 
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