なんてったってシスター!



表世界。既に日は沈んで夜の静けさが寂しく。

「終わりましたよ」

とある平原。ぽつりと立った木の幹に背中を預けて待機していたところようやく彼らは戻ってきた。ひと仕事終えた彼らは至る所に返り血を浴びていて心なしか褐色の肌に映える紅い目もいつもより色濃く窺える。

「チッ……派手に散らかしやがって」
「ピチカちゃんがいいって言ってたし」

不服そうに手の甲で頬に付着した血を拭うダークウルフと反して上機嫌のダークフォックス。

「ねっピチカちゃん?」

ピチカはぼんやりとしている。

「、おーい?」
「はわっ」

気付いて肩を竦めて苦笑い。

「ピチューの奴ですか」
「あはは」

ダークウルフが訊ねるとピチカは両手を後ろに回して眉を下げた。

「そうかも」
「気にすることないっスよぉ。リーダーがいっちばん可愛がってんのはピチカちゃんなんスから」
「そうじゃなくて」

ダークフォックスはきょとんとする。

「あの子、男の子だよね」

ピチカは空を見上げながら。

「僕になりたかったのかなあって」

言った後ではっとしたように振り返り手を振る。

「違うかもしれないけどね!?……でもにぃにのこと誰よりも大好きで、にぃにはその……僕のことが好きなの知ってるから。だから女の子のふりして成り切ってるのかなぁとか」

ダークウルフは目を丸くする。

「……考えたこともなかったな」
「ええっ仲間なんだからよく見てあげてよう」
「まー気にしなくていいんスよあんなヤツ」

随分と無関心なことだ。

「さ。任務報告もありますから帰りましょう」
 
 
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