バウンサー



紺碧の空。宝石のように散りばめられた星々とそれに似つかわしくないサイレンの音。

「ご協力ありがとうございました」

人身売買に関わった人間は参加者も含め全て駆け付けてきた警察官の手に渡った。深々と頭を下げられたが肝心のルーティ含むメンバーはリオンの後を追ってきただけなので何が何やらさっぱり。何せ会場に辿り着いた時には見張りも参加者も倒れ伏していたのだ。基本目立った外傷はなかったものの一部の人間は腕や脚が有らぬ方向を向いていたり泡を吹いていたりと目も当てられない状態だったのが気掛かりだが。

「やっぱり捕まっとったんかいな」
「作戦の一環というものだ」

絡むドンキーにユウは腕組みして答える。

「よおゆうわほんま。あんさん愛犬が嗅ぎ付けへんかったら今頃見せ物小屋の中やで」
「輪姦ですか!?」

警察の居る前で何ということを。

「しぃっ! しーっ!」
「隙を与えるからですよ」

リンクは溜め息。

「どうしたのウルフ?」

その様子を離れた場所から睨むのは。

「いや」


あれをやったのは。


「……さっさと帰るぞ」
「あ、」

ペットだの愛犬だの。

そんな可愛らしいものじゃない。

「待ってってば!」


あいつが飼っているのは。


「……わん」



end.
 
 
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