バウンサー
リオンはちらりと食堂内にある時計を見る。
「銃……?」
「き、気にしなくていいんだぞ、ピチカ」
十九時四十五分。
「わん」
ルーティは小さく息を吐いた。
「裏から洗っても尻尾を出さないなんて」
「連中も用心深いな」
ウルフは煙草の煙をゆっくりと吐き出す。
「ちょ、」
ばたんと扉の閉まる音。
「、?」
「今出て行ったんはリオンやで」
ルーティは訝しげに扉を見つめる。
「自分のパートナーが行方不明やっちゅー時に呑気な奴やでほんま」
ドンキーは呆れたように溜め息。
「追ってみよう」
「ええ?」
興味本位でもなければ野生の勘でもない。
「……何かあるかもしれない」
十九時五十五分。
レイアーゼ都内にあるとある大手ショッピングモールの地下倉庫。作業員に扮した男たちが目を光らせるその場所にこそ例の闇オークション会場へ続く隠し通路は存在する。木を隠すなら森の中といったように政府の目を欺くその場所は生半可な電波は一切通さない完全完備。
「お待ちしておりました」
参加者と思われる夫妻の本人確認を終えると作業員に扮したその男は深く頭を下げた。
「会場はこちらです」