誰でもいいとは言ってない!
……本当。気に食わないな。
「あ」
ひと睨み差し上げてその手を振り払う。
「しつこいな」
手をはたいて無愛想に顔を背けるカービィをラディスは敢えて詰め寄らずに黙って見つめた。その思いが通じたのか否かカービィは小さく溜め息。
「……やめてやってもいいよ」
眉を寄せながら。
「だからってどうすんの」
「君は不器用だな」
マルスが呆れたように歩み寄る。
「は、はあ? あんたに言われたくな──」
「僕たちがいるだろ」
目を丸くする。
「変な意味じゃないよ」
マルスはその後ろへ視線を投げかけながら。
「ね。ラディス」
物好きにも程がある。
「子ども達に混ざって遊んでみるのは?」
「僕のこと馬鹿にしてんの?」
「変にプライド持つから友達いないんだろ」
「はぁあ?」
「思うところはあるかもしれないけど」
ラディスは笑いかける。
「もっと積極的になってもいいと思うよ」
肩を竦めて朗らかに。
「俺たちは歓迎するからさ」
本当に。
「お前さぁ」
「うん?」
「僕が拒否しなかったらどうしたんだよ」
ラディスはきょとんとしたように。
「どうするって……どうもしないけど……」
こいつだけは本当に!
「有り得ない」
「えっ」
小さく呟いてカービィは振り返る。
「お前だけは! ラディスだけは抱くのも抱かれるのも有り得ないからな! 絶対にッ!」
その後。追い出されたのは言うまでもなく。
「あんなに嫌がられるとは思わなかった……」
「いや……あれは嫌というより」
「、へっ?」
「……何でもないよ」
end.
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