誰でもいいとは言ってない!
「ぁ」
部屋の中を見回すラディスを見て、
「そ、……そこ、座っていいよ」
誘導してどうする。
「ありがとう」
ラディスは柔らかく笑いかけるとベッドの縁に腰を下ろした。変に何か言われるより先にカービィもその隣に──気持ち数センチ間を空けて座る。話題がなければ当たり前に室内には時計の針の音だけが響くだけで自然と胸の内の鼓動も加速するというもの。最も耐え兼ねたのはカービィの方で「あのさ」と小さく口を開いて。
「ど、……どうすんの」
「うん?」
意地悪に聞き返しているのではないのだ。
「いやだから……」
「上とか下とかって話かい?」
想像の斜め上。
「そ、そんな感じ?」
動揺のあまり話を逸らせなかった。
「うぅーん。流石に俺も男の子を相手にするのは初めてだからね」
めちゃくちゃ顔が熱い。
「でも体格差的に見たままじゃないかな」
「、や……それ、大丈夫なの」
「ははは。自信はないけど頑張るよ」
そんな風に笑うな!
「カービィ」
「なに」
「緊張してる?」
目も合わせられない。
「ぜ、……全然……別に」
息切れしそう。
「そっか」
横目でちらりと視界に捉えてみれば。
同時期に影が接近して。
「……じゃあ」
世界が反転して。
「始めてもいいかい」