誰でもいいとは言ってない!



いや別に。利害の一致ならノー問題だし。

相手が特別若い女の子でもちょっとお引き取り願いたい風貌の中年男性でも相手してきたこの僕が今の今更緊張とか躊躇とか。……

「カービィ」

ロイが恐る恐る。

「お前、右利きじゃなかった?」


どう見ても動揺しています本当にありがとうございました。


「う、……うるさいな」

何やかんやで三時のおやつの時間。用意されていたショートケーキを食すべくフォークを構えれば外野からの傍迷惑な指摘。ばつが悪そうに視線を返してフォークを右手に持ち直せば。

「そんなんでラディスのこと大丈夫なのかよ」

追い討ち。

「うるさいってば!」

これには思わずテーブルをグーで叩いて反論。

「別に全然平気ですけど!?」
「そうは見えないから言うんじゃん」

生意気すぎる。

「断ればよかったのに」

カービィはむすっとして顔を背ける。

「大丈夫だっつってんじゃん」

溜め息。

「誰でもいーし」

相手が家庭持ちとかどっかの部隊だか組織だか仕切ってるお偉いさんとかそんなのどうせ穴は同じだし幾らでも相手してきたしもっとヤバいのも居なかったわけじゃない。ラディスだってあの場では嘯いていただけで約束の時間に顔を突き合わせたらただ単に反省を促すだけのつもりだったとか何とか言ってくるに決まってる。

そんな子供騙しのブラフにかかってたまるか!

絶対に後悔させてやる──!
 
 
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