演劇上等!~桃太郎編~
『桃太郎と猿と犬が歩いていると』
続いて舞台の端から現れたのは、雉役のファルコ。これもこれで適役だが、本人は納得がいかないらしく機嫌が悪い。
「何で俺が雉役なんだよ……隼なのに」
ちなみに雉である。
「役だからいいじゃないの。ほら、吉備団子あげるからさっさとついてらっしゃい」
ピーチはそう告げて腰に下げているはずの小袋に手を伸ばすが、無い。何となく嫌な予感がして、ピーチは振り返る。
「あ。……わり、全部食べちった」
犯人はディディー。適当に歩き回っている間に、ピーチもビルも食べないもんで、一人で食べ尽くしてしまったのだ。
「てめっ」
吉備団子さえ貰えばついて来るつもりだったのだろう。ファルコは腕を捲って怒りを露にするが、ビルはすかさず止めると。
「照明!」
舞台は一旦、暗転して。