演劇上等!~桃太郎編~



「初めまして、桃太郎です」
「うわ、命名してないのに名乗ったぞ」
「もはや他人だね」

ピーチが包丁を手放すと、マリオは足下に包丁を置いて。すると、さっさと物語を進めたいらしいピーチ、腕を組んで。

「早速だけど、吉備団子作ってよ」
「生意気だ」
「図々しい他人だね」

口々に呟くマリオとルイージに苛立ちを覚えたのか、ピーチは頬に青筋を浮かべて。

次の瞬間、舞台は暗転。


「っぎゃああぁああ!?」


マリオとルイージの悲痛な叫び声が講堂内に響き渡ったかと思うと、舞台はライトアップされて。何故かそこにはピーチしかおらず、手には吉備団子を詰めた小袋。

『こうして桃太郎は吉備団子を詰めた小袋を手に、鬼を退治しに向かうのでした』

どうして?

何故か辺りには赤い液体が散乱しているが……せめて血糊であることを祈る。
 
 
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