演劇上等!~桃太郎編~



『お婆さんが川で洗濯をしていると』

ルイージがその場で屈み、自分のオーバーオールを洗っている振りをしていると。

『川上の方からどんぶらこ、どんぶらこと大きな桃が流れてきました』

張りぼての大きな桃が、舞台端からブルーシートに添ってやって来た、が――

異常に速い。

底にローラーが付いているお陰で、物凄い速さで舞台を横切り。その先で勢いよく壁に衝突し、ルイージはぽかん。

「……ちょ、桃ぉおお!?」

はっと我に返ったルイージが桃を追いかけるところで、舞台は暗転。当然講堂内では笑いの渦が巻き起こり。

『お婆さんは早速、お爺さんと桃を一緒に食べようと、家に持ち帰りました』

気にせず女子副部長が続けると、再び舞台はライトアップされて。真ん中には先程の張りぼての桃が置かれ、両側にはそれぞれマリオとルイージが正座していて。
 
 
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