演劇上等!~桃太郎編~
――演劇会、当日。
全校生徒はだだっ広い講堂に集まり、次々と用意されていた椅子に腰掛けていき。
「へぇー。“桃太郎”かぁ」
「面白そうだね」
ロイは椅子に腰掛けると、まだ下ろされたままの幕を見つめて。その隣に腰掛けたマルスは小さく笑みを溢し、足を組む。
「あの話のお婆さんは偉いよねぇ。僕だったらもし、でっかい桃がいきなし流れてきたらその場で丸かじりしちゃうもん」
「殺人罪独り占めだな」
カービィの呟きに、ロイは少し顔を引き攣らせながら突っ込んで。――その時、生徒が揃ったのか講堂内は暗転して。
「これから、演劇部による“桃太郎”が始まります。どうぞ、お楽しみください」
そう告げるのは女子副部長。
「アイク、寝ちゃ駄目だって」
「肉が……流れてくるのか……」
「桃だよ」
マルスの隣に座っているアイクは既に寝惚けてしまっている。いつの間にか講堂内は静まり返っていて、間もなく幕は上がり、舞台がライトアップされて。