演劇上等!~桃太郎編~
「てめ、ビル! 何のつも……っんぐ!?」
暗闇の中、ファルコの声だけが響いて。
間もなく舞台がライトアップされると、何故かファルコは舞台の端で崩れ落ち、赤くなっていて。ビルはさりげなく身なりを整えると、笑顔でピーチを振り返り。
「さあ! 今こそ鬼退治へ!」
「あんた……鬼ね」
『こうして桃太郎は、短気な雉を仲間に加えて再び道を歩き出すのでした』
ここでも舞台は暗転して。
『三人のお供を引き連れた桃太郎は、いよいよ鬼が住まう鬼ヶ島へ向かいます』
ここでさざ波の音が入り。
『海に辿り着き、桟橋で小舟を借りてオールを漕ぐこと二十分……ようやく桃太郎は、鬼ヶ島に辿り着くのでした』
「桃太郎が桃太郎だから、豪華客船で悠々と乗り込みそうだけどな……」
「それは絵面的にどうかと」
ディディーとビルの話し声が聞こえた後、舞台は再びライトアップされて。