紙一重の温情
……次の日。
「なぁんで僕たちまで……」
表の世界にあるとある陽当たりの良好な小さな公園を訪れていたのは仔猫を抱きかかえたタブーと何故か付き添いに抜擢されたクレイジー、そしてマスターだった。
「おさんぽ」
「ひとりで行けばいいだろ」
答えるタブーにクレイジーは不服を投げかけるも本人は動じずベンチに腰を下ろす──おっとご安心あれ彼らは普段の衣装ではなく私服に着替えていたのである。彼らの普段着は白を基調とした比較的目立つ見た目であるので当然といえば当然といったところだろう。
「兄さんもひとが良いんだから」
「こんな事でもないと外に出ないだろう」
「当たり前だろ」
引きこもりを極めている。
「、ん」
クレイジーが何かに気付いて視線を上げると同じタイミングでタブーもベンチから降りた。
視線を遣った先には二匹の猫。
「あれって」
クレイジーが呟けばマスターは頷いて、
「だろうな」
腕の中の仔猫が身じろぎをすればタブーは厭に素直にその場に屈み込んで地面に解放した。一連の流れにマスターもクレイジーもただ肩を並べて見守るばかり。その一方で仔猫は二匹の猫の元へ駆け寄ろうとしてタブーを振り向くと小さく鳴いて駆け寄ろうとしたが刹那。
「だめ」
……仔猫はぴたりと立ち止まる。
「おまえはもういらない」
冷たく。
「こっちにこないで」
語気を強めて発言しているようで。
「あっちにいって」
その真意は。