紙一重の温情
というわけで。
「ぶぁっ」
ダークシャドウの基地の中ある浴室。
「なんで俺なんだよ!」
頬に青筋を浮かべ嘆きながら仔猫を洗うのに悪戦苦闘するのはダークフォックスである。
「えー言ってたじゃん」
ダークピットは水の飛び散らない浴室の入り口で腕を組みながらへらへらと。
「俺も混ぜてー、って」
「害獣の世話とか聞いてない!」
ご立腹である。
「がいじゅうじゃなくてペット」
側で屈んで眺めていたタブーが訂正する。
「あとなまえもある」
「名前っスかぁ?」
「ねこ」
「とても可愛らしいお名前です……」
「マジで言ってる?」
タブーの傍らで指先を合わせて笑いかけるダークロイにダークフォックスはジト目。
「いつまで時間をかけるつもりですか」
浴室に顔を覗かせたのはダークファルコ。
「ご飯、冷めてしまいますよ」
「うぉっマジか」
ダークフォックスは逃げようとする仔猫の首根っこを容赦なく掴んでぶら下げながらお湯を出してシャワーヘッドを手に構えるとニヤリと笑み。
「逃げんなよぉ?……おらっ!」