ぼくのいろ



色は元々絵の具で塗るつもりだったようで、それを聞いてタブーを暫し見つめた後ゲムヲは迷わず紫色の絵の具のチューブを手に取って見せる。

「きゃっか」

タブーは不貞腐れたような顔をして。

「にあわないよ」

きょとんとして首を傾げた。

「……このかみだって、ださい」

そんなことない、とゲムヲは小さく首を横に振って。


「むらさきなんかきらいだよ」


どうして、そこまで自身の髪の色を拒むのだろう。

以前からそうではなかった。となればきっかけがあったことこそ確かだが、それを訊ねる仲でなければ必要もなかった。

「……?」

不意にゲムヲは鉛筆を置いて画用紙と一緒に脇の方に除けると、パレットを取り出して代わりに置いた。続けて手に取ったのは赤と青の絵の具のチューブ。きゅ、とそれぞれを練り出して絵筆を構える。タブーは不思議そうに眺めて。

「子供は、親の個性を引き継ぐ」

目を丸くした。声を聞いたのは初めてかもしれない。

「性格を引き継いで意地っ張りだったり、特性を引き継いで魔法が使えたり」

たどたどしい口調で、しかしその手は軽やかに。

「髪の色だって」

赤と青の絵の具が混ざり合う。

「……嫌いにならないで」
 
 
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