ぼくのいろ



「ひとによるんだね」

続けて、ルーティとタブーは食堂に訪れていた。

カービィとリム。リンクとゼルダ。どうやら彼らを見比べてみての発言らしいがその意図は未ださっぱりである。もしかして自分は頭が弱いのだろうか。

「ぼく、なにいろがにあうのかな」

そう言いながら自身の髪の毛の先っぽを摘まんでは弄っているのにルーティの頭の上には幾つもの疑問符が飛び交っていた。既に意図を読まれた読者様には申し訳のたたない見事な阿呆っぷりだが、肝心な所だけこうなのは無論父親譲りである。

「おにぃー!」

と、ハートマークをこれでもかといった具合に散らし、飛びついてきたのは。

「うわっ」
「お帰りなさーい!」

……これも何番煎じか分からない。

全く、所構わずこうして懐く癖はどうにかならないものか。

「じゃま」

ルーティに抱きつくピチカをぐいと手で押して、つまらなそうにタブー。

「むぅ、邪魔なのはそっちじゃん!」
「おんなのこなんだから」
「性別関係ないもん!」
「はずかしいよ。ちいさくもないのに」

どうしてこうも発言が的を射ているのだろう。

「おっ。なんだルーティ、今日もモテモテだなー」

そんな現場に立ち会ったロイがへらへらと笑って茶化し、何が何がと楽しいことに目がない連中がぞろぞろと。そうなると途端に居心地が悪くなったのか何なのか、タブーは帽子を片手で押さえながらするりと人だかりを抜けた。

「……、」

帽子を被り直して、ふと気付く。

「おもしろい?」

解放されるまでの暇潰し。そう思って何となく声をかけたつもりだった。
 
 
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