ぼくのいろ



「うぉああっ!?」

と、こんな具合に声を上げられたのは廊下を歩いていた時のこと。

「珍しいお客様ね」
「いや常連みたいなもんだろ」

鉢合わせたのはアルフェイン兄妹。相応の反応を示して飛び退いては姉の背中に隠れる末のローナに対し、シフォンとネロはこういった、謂わばとんでもない来客にいい加減慣れてしまったご様子。一方のタブーも、今日ばかりは何故か遠慮がちでルーティより少し後ろに下がって立ち止まっていた。

「……ん?」

視線を感じて、返す。

「ネロ、それじゃ怖いよ……」

鋭く突き刺さるような視線にルーティは苦笑を浮かべて。

「目付きが悪いのは生まれつきだもの」
「お前は性格が悪いけどな」
「ねえねえ、僕はっ?」

ひょいと顔を覗かせて向けられる期待の眼差しにネロは溜め息。

「無くていいだろ」
「えー。兄妹なんだからお揃いがいいよ」
「欠点はブランドじゃないのよ」
「じゃあ何だってのさ」

シフォンはひと呼吸置いて。

「……個性よ」
「僕も欲しいっ!」
「ああもう余計なこと言うな! 話の終着がつかないだろ!」
「だって面白いじゃない」
「欲しいー!」

今日も世界というものは平和である。

「……カラフル」
 
 
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