創造神は調子が上がらない!▼




この季節。余程恵まれた健康体でない限り一生に一度くらいは世話になることだろう。

「っくし」


風邪。


「兄さん大丈夫?」
「……ああ」

亜空間にある黒塗りの研究施設を模した基地。お馴染み第五研究室にて趣味の研究に没頭している様子のマスターとクレイジー。

「昨日髪乾かさないで寝ただろ」
「覚えてないな」

そんな彼らのやり取りの傍ら近くでうろうろしていたタブーは何かを拾い上げる。

「おい。何拾ったんだよ」
「おはじき」

クレイジーは眉を顰めながら歩み寄る。

「お前これ持ち込んだだろ」
「わかんない」

どいつもこいつも。

分からないだの覚えがないだの。

「こういうのが実験の妨げになるんだよっ」

手荒に奪い取って握り潰して破壊。

「あーあ」
「他人事かよ」

くだらないやり取りを傍目に。マスターは研究の傍ら再び痒みを覚えて。

「……へっくし」
 
 
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