いいから空気を読みなさい!
「お前が如何に空気と縁の無い男かはよーく分かった」
さすがにこれが自分を褒めているものだと勘違いするほど抜けてない。
ぎこちなく顔を背けたダークウルフが苦笑を浮かべていたその間、スピカは腕を組み何やら思い悩んでいた。ちら、と当人を捉えて。だが再び目を逸らす。
「……お、お前がどうしてもってなら」
何故か吃りながら。
「俺が特別に教えてやってもいいけど」
スピカはそう言ってもう一度、ダークウルフを見遣る。
――空気の多くは多数決で決定される。
だが状況変化や結果によっては覆されることも多々。故に順応性が重視され、それに長けた者こそが空気の読める最も好意的な人物といえよう。
これまでの経験で、どうあるかはそれなりに理解出来たが生かせていない。
「お、お願いします」
だから素直にそう答えた。
「分かった」
――その結果が。
「……ん」
これってどういうことなの。