いいから空気を読みなさい!



「ぶっ殺す!」 

銃声。顔を青ざめてフォックスとファルコの部屋から飛び出してきたのはカービィとダークウルフである。銃の乱射により追い出されてしまったようだが。

「あんたも案外はっきり言うよね」


――盛りのついた犬みたいに。真っ昼間からご苦労なことだな。


「本当のことだろうが」
「だめだめ。発言する相手くらい選ばないと」

空気読めないなぁ、とカービィは呆れたように腕を組む。

一件目であればたまたまという可能性もあったかもしれないが、実はこれで六件目になるのだ。訪れた先や出くわした先々で“空気が読めない”と絶不評。本人もこれといった自覚がないのだからその類のそれとは全く、縁が無いのかもしれない。

「じゃあ空気とは一体なんなんだ!」
「感じるのです……然れば道は開けるでしょう……」

答えてくれればどうとでもなるのだろうが、これである。

「彼の者に光の導きがあらんことを……ってあんた光とか駄目なんだっけ」

ダークウルフは盛大な溜め息を吐いて。

……こんなことをして、自分がリーダーの傍に在ることを許される日が本当に来るのだろうか。他に方法が思いつかない以上、頼る他ないのかもしれない。

「まだ見ぬ空気を探し求めて! あ、見えないけどね?」

それほどまでに邪魔されたことが気に食わなかったのだろうか。

自己嫌悪。叱られすぎて既にやる気の八割を消失しているダークウルフの背中を、ぐいぐいと押しながらカービィは次なるターゲットを目指す。
 
 
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