いいから空気を読みなさい!



頭に大きな瘤を据えたダークウルフを見つめて。

「何が原因で思い立ったの?」

カービィは膝の上に頬杖をつく。

何故か沈黙が流れた。膝に置いた拳がくっ、と握られる。そして――此方の予想の斜め上を更に上回った展開。ダークウルフはぽろぽろと涙をこぼし始めたのだ。

「え、ちょっそんなに痛かった!?」

慌てて訊くとダークウルフはふるふると首を横に振って。

「そうじゃない。でも」

きゅ、と胸の辺りに手を置いて衣服を握る。

その仕草で何となく悟った。彼は忠誠心に溢れる男なのだ。それもただ一人特定の人物に限定して。安心したのやら、カービィは短く息を吐いた。

「……喧嘩?」

今度もダークウルフは首を横に振って答える。

「俺が不甲斐ないばかりにリーダーを不快にさせ、挙げ句嫌われてしまった」
「だから。何をしたの?」

ぴっ、と立てられたのは人差し指、中指、薬指の三本。

「……三本の矢」
「何それ」

メタナイトは腕を組んで。

「一本なら個人の力で折ることも叶うが、三本となった時はなかなかに折れない。だが三人が力を合わせればそれもまた叶うという古い偉人の話だ」

ふぅん、とカービィは理解を示す。

「リーダーは実物を用いて説明してくれた」

ここまで来れば大体読める。思わず苦笑を浮かべつつ、

「……全部一人で折っちゃったんだ?」
 
 
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