神様のなにもない一日
暫し呆気にとられていたが。
「……そうだったな」
笑みがこぼれる。
いつだって大切なことに気付かせてくれるのは弟で。最愛の唯一無二の肉親を守るためならば幸せにするためならば何も躊躇わないのだと。
その為だけに。
この力はあるのだと。
「でも」
泡が舞い上がる。
「何もしなくていいのは楽かも」
胸に飛び込んできた弟を抱き留める。
「僕たち仕事熱心なので」
「休息は必要だな」
頷いて返す。
「僕、お風呂上がりにパフェ食べたいなー?」
「コーヒー牛乳じゃないのか?」
「どっちも欲しいなー?」
わざとらしく。浴室のドアの向こうの脱衣所に向かってクレイジーが声を上げてみると。
「ハイハイご用意いたしますよっと」
溜め息混じりに返ってきた声に。ふたりは顔を見合わせて小さく笑った。