神様のなにもない一日
突拍子もない質問。
有り得たかもしれないイフの世界。
想像など出来るはずもなかった。
大人に逆らうだけの能力も持たない純粋で無垢だったあの頃は本当に幸せだっただろうか。
今なら首を横に振って否定できる。
無力で尚も優しくあることが。
どれだけ、愚かだったのか。
「……比べるまでもないだろう」
想像が出来ないのは、そういうことだ。
自分たちは頼らざるを得ない。誰も抗うことの出来ない圧倒的で万能であるこの能力に。
なにもない、なんて。
「、!」
急に頬を摘まれるのだから目を開いた。
「難しい顔してる」
目の前には膨れっ面の弟の姿。
「今と比べて聞いたわけじゃないよ」
水面が揺らぐ。
「何より僕たちは」
クレイジーは優しく微笑む。
「……今よりずっと幸せになるんでしょ?」