保健室は多忙



ガシャーン!


ルイージの台詞を遮るように外から飛んできたボールによって、保健室に設置された窓は勢いよく割れてしまった。

俺はボールを拾い上げ、窓を開いて顔を出す。すぐ外はグラウンド。体育の授業中。

一目瞭然だった。

「げっ、ヒゲだ!」
「ああ……保健室だったのか」

外には、体育の授業を受けているすま組の生徒の姿。……どうやら、自由時間に野球をして遊んでいたらしい。

犯人はボールを打ったファルコなのか、それともボールを投げたアイクなのか……そんなのはこの際どうでもいいのだ。

「スネーク先生!」

俺はボールを握る手をふるふると震わせながら、ジャージ姿でグラウンドの端から傍観していたスネークを睨み付ける。

スネークは面倒臭そうに頭の後ろを掻いていたが、教師としての自覚はあるのか、野球をしていた生徒らの元へ駆け寄った。

「全く。ああいうのが一番困るんだよな……ん?」

呆れながら振り向いてみれば、ソニックとルイージは壁に背中を合わせて此方を見つめては、ガタガタと震えている。

頭の上に疑問符を浮かべ、何がどうしたのだと訊ねようとしたその時だった。

「マリオ先生! あんたに急いで伝えなきゃいけないことがある!」

スネークの声だ。俺は再び窓から顔を出し、小首を傾げる。

「何だよ。早く言えよ!」
「ああ……だが遅かったみたいだ! 何てったってそれは、小型爆弾だからな!」


ドカーンッ!


今日も保健室は多忙。

患者が来たり、爆弾が飛んできたり……ただ、これだけは言わせてくれ。



「普通に授業しろおおお!」



end.
 
 
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