夏バテですか?



エックス邸、食堂。

「……というわけなんです」

リンクは残りの紅茶を全て飲み干してカップを受け皿の上に置くとクッキーを摘まんだ。

「旨いのになー」

行儀悪く頬杖をついて足をぷらぷらさせているロイはもう五枚は頂いている。今日のクッキーは決して飽きさせないチョコチップにバニラに紅茶と様々なフレーバーが揃っているのに。

「この暑さだからな」

アイクは豪快に二枚同時に口の中に頬張って。

「逆に口の中が甘ったるく……むもご、」
「気持ち悪いのかもしれないね」

聞き取りづらくなった語尾をマルスが繋ぐ。

「んむ、……冷たい物なら食べるんじゃないか」
「持っていってみましょうか」

冷蔵庫には柑橘系のアイスがあったはず。

「僕たちがそこまで気にかけなくても」
「なに? 誰の話してんの?」


噂をすれば。


「結局来るんじゃん」

にししっと笑ったロイが早速クッキーの乗せられた皿を丸ごと差し出してみたが反応は確かに冷ややかなものだった。一瞬目を奪われたかのように見せかけてふいと逸らす。

「いらないっつってんじゃん」
「珍しいですねぇ」

話を聞いていたのかひょいと横から顔を出したヨッシーがクッキーを摘まんで口に運ぶ。指に付いた粕をぺろっと舐め取る様に見惚れている様子のカービィだったが我に返ったのか慌てて逸らすとばつが悪そうに。

「い……いらないものはいらないから」

そう吐き捨てて、食堂を出ていってしまう。

「何やら虫の居所が悪そうですねぇ」
「放っておいてやれ」
「アイクの言う通りだよ」

ただ一人。ロイだけはつまらなそうに。

「……変なやつ」
 
 
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