大人になりたい!
刹那、茂る森の中から灰色の体毛の魔物が何匹も飛び出してきた。ざっと見渡しただけで十匹、か。これだけの数、森で暴れているだけマシだ。
――こいつらがもし、街まで降りてきたら。
「分かってるとは思うけど。誘い出したからには一匹も逃がさないで」
それぞれが頷いて返したが刹那、子分の魔物が一斉に襲いかかってきた。こいつらは親玉と比べて大きくはない。例えれば、大型犬と同じくらいといったところか。
フォックスは冷静に拳銃を構える。同時に二匹、飛びかかってきた魔物を一方は銃弾で的確に急所を撃ち、もう一方を回し蹴りで蹴り飛ばす。その先でリンクが剣を振るえば、赤い体液と共に魔物の頭が派手に宙を舞った。
落ちて転がってきたそれを踏み潰して、親玉の魔物が踏み出す。唸るそいつが睨みつける相手はルーティ。が、他の四人は応戦中だ。何せ、子分の魔物だって先程飛び出してきた十匹程度が全てではない。まだまだ森から出てくるのだ。
「ちっ!」
マリオが炎を放つと、街へ降りようとした魔物を焼き払った。長らく森にいたお陰で人間とはご無沙汰なのだろう。いい匂いが漂うあの街へ、魔物は既に狙いを定めているのだ。案外、奴らを誘い出したのは間違いだったのかもしれない。
「カービィ! そっち行ったぞ!」
振り向いて声を上げると、銃で援護していたカービィは構えをとった。飛びかかってきた魔物を躱し、振り返り様に撃つ。続けて後ろから飛びかかってきた魔物は思いきり引いた肘で打って怯ませたところを蹴り、そしてもう一発。
一瞬の隙も許されない。無論、息をつく間さえも。
ホラー映画なんかじゃよくある光景だ。ひと息ついたその次の瞬間、襲いかかる化け物に太刀打ちできず、動きを封じられる。群がる化け物に、貪られる。
「はあっ!」
そんなのは絶対に許してはならない。
だから戦う。守り抜く。――自分だけじゃない、全てを!