ひだまり



同じベッドで眠っていた二人のちょうど間を割って入るように布団の中に侵入してきたタブーの頭をマスターは優しくひと撫でする。クレイジーも、普段なら何かと言いがかりをつけて愛する兄から引き剥がしそうなものだが今回ばかりは襲いくる眠気に敵わず。温もりを共有するように。

そろそろと身を寄せて。

「……へんなの」

浅く瞼の開閉を繰り返しながらタブーはぽつりと言った。

「みんな、ぼくのあたまをさわるの」

少しだけ目を丸くして。

マスターはふっと小さく笑みをこぼした。

「それはお前が可愛いからさ」
「僕の次にね」
「ああ。クレイジーの次に、な」

繊細で柔らかなその髪に指を絡めて梳かす。

「可愛くて大切なんだよ」


甘く優しく。ミルク味のキャンディのように。

心の内でとろけて。満たして――


「……ね」

タブーはマスターの右手とクレイジーの左手をそれぞれ手に取って呟いた。

「だいすき」


此処は亜空間。

決して陽の当たらない場所。


「俺もだよ」
「……僕も」


誰も知らない。

本当は温かくて優しい。


僕たちの陽だまり。



end.
 
 
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