ひだまり
朝の空気が白の柔肌に触れる。
冷たい。ふるっと小さく震えて目を覚ました。
此処は決して陽の当たらない場所。……未開の裏世界、亜空間。
一見して黒塗りの巨大研究施設である其処は三柱の神が住まう立派な屋敷。幾つもある内の一室に、禁忌兵器と称される少年タブーの寝床はある。
天蓋付きの大きなベッドが扉から入って正面奥にぽつり。部屋の中には絵本や玩具が散らかされていて、その中には人形の手足、目玉などが転がっており普段少しの明かりも灯さないこの部屋でひと度それを目にすれば誰も声を上げることだろう。
……人形の手足。本当に、人形だろうか。
タブーはその小さな体をのっそりと起こした。頭が薄ぼんやりとするがかといってどうしても眠いわけではない。本来の起床時間にして、不適切。
目覚めるにはまだ早すぎたのである。
となると。暇を潰すのがこの状況において最も適切な判断だろう……タブーはのそのそと動いてベッドから両足を下ろすと、床に足を付けて立ち上がった。
瞼を擦りながら一歩踏めば、足下から下腹部にかけて。小さく欠伸を洩らし二歩踏めば頭の先まで青白い光の輪を通し、寝巻きから普段着に早変わり。こういった能力も創造の神たるマスターの神力をその体に分け与えられているからである。
……この部屋に時計はない。けれど慣れっこだ、時間にして早朝の五時を上回るか上回らないかといったところか。そうなるとまだ誰も起きていないだろう。
……そうだ。
ダークシャドウの基地を覗きに行ってみよう。
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