悪の美徳



ダークゲムヲは本物と違って饒舌だし性格的に見ても明るく積極的なので父親にもその辺は好印象を与えるのだろうが、何せ下着を穿かないという妙な癖がある。

それも女の子。変なところは見られたくないものだ。

「……リーダーのお父様、ですか」

ダークウルフはきらきらと瞳を輝かせながら。

「きっと物凄く可愛らしいんでしょうね……!」
「お前のその発想はおかしい」


――とにかく。

個性豊かな方々の偽物となったが為に何処か歪んだ性格を持って生まれ落ちてしまった通称対X部隊用戦闘兵器、自称本物以上の偽物軍団ダークシャドウ。

今更その変わった性癖だの個性だの殺して更生しろというのは無理だし、彼らのことだから猫被りもそう長くは続かないだろう。となれば、だ。

今日一日だけ彼らを部屋に籠もらせても問題ないのではないか。まさか全部屋を巡ろうというわけではないだろうし。父さんだって息子の元気な笑顔を見れば安心して素直に帰ってくれるさ。つかどうやって亜空間に来るつもりなんだ?


「……リーダー」
「なんだよ」
「あの方がお父様ですか?」

ダークウルフが指差す先に視線を辿らせてみると。

「お、なんだそこにいたのか。相変わらずでかくねーなぁ」

普通にお邪魔してるー!?
 
 
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