素直じゃないけど
あの時は蹴りを頬に掠めただけ。その傷がうっすらとまだ残っている。
口を開けば何番煎じか。じっと視線を返した後、立ち去ろうと背を向けた時。
「さっきの」
呼び止めるように切り出した。
「その」
カービィは足を止めて言葉を待つ。
「笑って、ごめん」
本当、似てる。
「別に気にしてないよ」
カービィは自嘲気味に笑った。
「てーか笑うっしょ。僕なら謝らない」
自分で言っておいてどんだけ性格が悪いんだ、と心の中で突っ込んだ。
「……まあね」
マルスも息をついた。
「僕も謝らないよ。普段なら」
意味深な返しにカービィは振り返る。するとマルスは壁を離れて。
「え、なに」
「じっとしてて」
接近して、手を触れる――