素直じゃないけど



カービィはべえっと赤い舌を出した。

「お邪魔しました」
「二度と来んな!」 

浮遊しつつ後退して退室を図っていたその時、投げつけられた本を小さく弧を描くようにして躱し、空を蹴って離れる。程なく着地、バタンと派手に閉められた扉を振り返ってやれやれと呆れ顔。

「……マジにならなくたっていいのに」

ツンデレと名高いファルコさんに聞いてみようと部屋を訪れてみればこの歓迎。何かまた余計なこと言ったんじゃないかって思ってるんだろうけど多分正解。商品はないから達成感だけ、どうぞ召し上がれ。

……なんてふざけたことを考えながら、カービィは小さく息を吐いた。付き添いが居ようが居まいが大して変わらないなんて思ったけど大はずれ。ストッパーがいないんじゃ口は減らないし、アドバイスがないんじゃ話も綺麗に切り出せない。

口を開けば、またいつもの調子で挑発してしまうだけ。


なんか。冗談抜きで無理そうだ。


「――次は」

廊下を歩いていたカービィは立ち止まった。

「誰を怒らせに行くんだい」

振り返る。

「……マルス」
 
 
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