素直じゃないけど
カービィはぷいと顔を背けた。拗ねている。
「目標って?」
「いいよ。自分で何とかするから」
事情を説明しようと口を開いたヨッシーだったが、物の見事に遮られてしまった。そのまま立ち上がり、扉へ向かう。
「おいカービィ」
「これからは気をつけます失礼しました」
言い捨てて扉が閉まると愛想のない対応にマリオは溜め息をついた。
「何があったんだ」
「うぅ、僕が素直にアドバイスしていれば……」
「事情を話してくれたら力になるよ」
ルイージが気遣ったがヨッシーは首を横に振って。
「ま、どうにかなるさ。本人に解決しようとする意志があればな」
部屋のすぐ外でドアノブに触れようとした指先が声を拾い、躊躇う。
「もう少し素直になってくれれば楽なんですが」
「生まれ持っての性質なら仕方ないよ」
その人物は暫くの間、扉の前に立ち尽くして。
「才能に恵まれた人というのは別の人間に頼るという行為自体、苦手だからね」
ルイージは笑う。
「……大丈夫だよ!」
落ち込んで影を落としていたヨッシーは顔を上げる。
「僕たちじゃなくても」
扉の前で立ち聞きしていた人物はようやくその場を離れて。
「他の誰かが放っとかないだろうから――」