素直じゃないけど
まあ、一理ある。
いつからか自分は人と接するのに苦手意識を感じ始めていたのだ。積極的になれないのではなく(寧ろ積極性は有り余るくらいある)、そうして接したところで結果として人を煽ってしまう。毒づくのが癖となっているのだ。
確かに、目標を達成するにしても最後不快にさせてしまっては台無しだ。
まずはそこから直せというお咎めだろう。
「……で?」
その少年は刺すような目をして言った。
「僕に何の用?」
最初からクライマックス。
「聞きたいことがあるんですぅ」
彼はアリティア王国の王子マルス。
王子、といっても少し前まではその風格を微塵も見せない我が儘且つ高圧的な言動でチームの輪を乱そうとしてきた餓鬼みたいな奴。ま、事情を聞けば捻くれても致し方ないといった悲惨な経験をしているようだし悲しいかな共通点もある。
認めたくはないが、本性は似たり寄ったりだ。
本音を上手く表に出せない、コミュニケーション能力も乏しくて。
だから嫌なんだよね。鏡を見てるみたいで――
「はいっ」
ぽんと背中を押されて突き出される。
「……どうしたんですかぁ?」
怪訝そうに振り返れば、これだ。
「まさか僕に頼ろうなんて思ってないですよねぇ?」
嘗められてる。絶対に嘗められてる。