素直じゃないけど



カービィは頬杖をついた。

「……僕はどっちでもいいけどなぁ」
「食えりゃいいんだろ」
「うっさいな」
「じゃあ」

ひょいと目の前に差し出される。

「……どうぞ」


すんと甘く、優しく香る。


「ぁ」

そろりと差し出した手のひらにぽんと置かれた。

「ラディスって所々ジジくさいんだよなー」
「失礼なことを言うな。君だっていずれはこうなるんだぞ?」
「ならねーよ」

静かに生唾を呑む。

「……ありがと」
「どういたしまして」
「本当に」

カービィはそこまで言って口を噤んだ。

「……どういたしまして」


ちゃんと伝わったかな。

素直じゃない僕の、不器用な“ありがとう”。


「やっぱ、さっきのなし」
「え?」
「僕も好きだよ。……塩饅頭」



end.
 
 
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