素直じゃないけど



「カービィ?」

少し大袈裟に肩を跳ねて振り向いた。

「どうしたんだよ」

もちろん目的の人物ではない。怪訝そうに覗き込むのはロイだった。

「……別に」
「そんなことないだろ。ラディス、お土産持って帰ってんだぜ?」

どういう意味だ。そう思って睨みつけた直後。

「和菓子は嫌いかい?」


あっ。


「ラディス」
「クッパに負けたよ」

困ったように息を吐いてラディスが親指で後ろをさした先では、一体いつ入れ替わったのやらクッパが子供たちに囲まれていた。

「和菓子は和菓子でも饅頭は好かないみたいでね」
「へえ、あっちは?」
「餡蜜団子。美味しそうだったよ」

実物は見ていないが腹の虫が今にも泣き出しそうだった。

「ラディスは?」
「塩饅頭」

よく見るとひと握りの大きさの包みを持っている。

「俺は好きなんだけどなぁ……」
 
 
12/13ページ
スキ