素直じゃないけど
少し経って、カービィはふらっと食堂に戻ってきた。……いや。
タイミングを図ったとでも言うべきか。
「おっかえりー!」
「なんや早かったなあ!」
黄色い声の中にその人はいた。
金色の髪を緩く結って左肩に流している。左目の下の泣き黒子が似合うひと。
ラディス・フォン。
「ちゃんとお土産も買ってきたぞ?」
「あら。頼んでもいないのに気が効くのね」
「そりゃオメーが前回みっちり絞ったからだろ」
端耳にカービィは少し離れて席に座る。
「そうだったかしら。とりあえずご苦労さま」
「はは。どういたしまして」
ちらりと横目に捉えて。
「サムス。“ご苦労さま”とは目下の人間に使う言葉だ」
「知ってるわよ」
「……え?」
楽しそうだこと。
普段なら何の問題もなくあの輪の中に突撃するところだが今回ばかりはどうも気が進まない。気にしていないつもりでも、実際誤魔化しきれてないのだろう。
せっかくアドバイス貰ったのに。これじゃ本末転倒だ。