素直じゃないけど



その手は直ぐに離れた。怪訝そうに見つめるカービィの目の前に。

「……?」

差し出されたのは。

「付いてたよ」


――白い羽根だった。


ああそうか。ファルコに枕を投げつけられた時、中の羽毛が飛び出したのか。

「……ありがと」

さすが王子様は人の身嗜みにも目を配って――

「ちゃんと言えてるじゃないか」


え?


「嫌なのかと思った。そんな性格だから」

そう言った後でマルスはふいと顔を背ける。

「……勘違い。たまたま目に余っただけ」

そんな仕草さえ今はからかう気にもなれなくて。

マルスは視線に気付くと小さく息をついた。

「ついででいいんじゃない。本命じゃなくても」

目を開く。

「……気付くと思うよ」

マルスはそこでようやく微笑を浮かべた。

「伝えたい意志が、確かなら」
 
 
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