それは甘くてあざとくて
どうしよう。フォックスも女になっちゃってる――!
「ご、ごめんねっ!?」
そんなつもりはなかったんだとばかりにルーティを解放するフォックス。
「くくっ……そうか、お前ぺったんこだもんな……」
必死に笑いを堪えているウルフが何故か憎い。
ああ、貧乳ってこんなに辛いんだ……胸がズキズキと、っじゃなくて!
「何の騒ぎだ?」
フォックスが飛び出してきた部屋から出てきたのはファルコだった。
彼、というのもおかしいが女性になっている。胸の膨らみ、服装、髪型からそれは明らかだ。さっきの拳骨も痛かったし、何がどうしてこうなった……!?
「っふ、それがな……」
「ウルフ?」
フォックスがひと睨みするとウルフは顔を背けたが、まだにやにやしている。
「……そういやぁ、お前。チョコは作ったのか?」
その発言にルーティはきょとんとした。
「好きな人いるの!?」
「い、いないけど」
「なーんだ」
ほっと胸を撫で下ろすフォックス。
「あー、しまった。今日はバレンタインか」
「今からでも作ってやれよ」
「えっ僕が?……誰に?」
「あいつ。ピチカに決まってんだろ」
いやいやいや。そんなまさか。
……まさか、ね?