それは甘くてあざとくて
「っちょおおお!?」
一瞬で見るも無惨な姿に変わってしまった機械をバックにしてやれやれといった具合に前髪を掻き上げるスピカに、ダークルイージは駆け寄って両肩を掴む。
「何てことすんだよ!」
「それはこっちの台詞だ!」
ところがスピカは逆にダークルイージの胸ぐらに掴みかかって。
「あれじゃピチカがモテモテじゃねえか!」
ええー……
「ったく」
はあ、と息を吐き出してダークルイージを解放。
「決めた。まだ時間はある、チョコレートを廃止しろ」
「うーわっマジかよ」
「妹のこととなるとこうだからね。リーダーは」
「五月蝿い!」
原因である機械を破壊したことでエックス邸に居た連中の性別は余すことなく元通り。こんな気味の悪いことは二度としてたまるかと密かに胸に誓う。
一方でダークルイージは盛大な舌打ちをひとつ。
「結局、今度も寄越されたのはご褒美じゃなくて苦情かよ……」
既にその場を立ち去るつもりでいたスピカは振り返って、
「つべこべ言ってねえでさっさと」
「リーダー!」
びくっ。スピカは恐る恐る前に向き直った。