ふしぎなとびら、ひらかれて



斯くして、端から見れば妙なプロポーズ大作戦は始まったのである。


「――プロポーズっつったってよ」

ロイはどんと扉に両手を付いた。

「見やすいだろ。つーかイージーモード。結婚しろって言うだけじゃん」

にやりと笑み。

「即キメてやるよ」


何を恥ずかしがる必要があるんだか。そりゃあ女の子が相手なら多少気が引けるが今目の前にしているのは何の変哲もない扉。もっと言えば、機械だ。

無機質な塊なんて――恐るるに足らず!


「……おい」

と、言いたいところだが。

「お前ら注目しすぎだろ!」 


視線が。


「だってロイがキメ顔で言うからさー」
「僕たちもその、参考にするよ」

人がやってやろうって時にニヤニヤしやがってこいつらは。
 
 
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