ふしぎなとびら、ひらかれて
……、食堂?
「やられましたね」
溜め息をついたリンクが頭を抱える。
「そないなとこ引き込もってどないするんや?」
「馬鹿ばっかりねぇ。いい? 今、食堂の扉は開かないの」
「開けたろか?」
「無理よ」
ピーチは言った。
「だってあんた達がそっちの扉全部開けないとロックが解除されないもの」
……え?
「全部って」
「そうよ」
語尾にハートマークが付きそうな愛らしい声音で恐ろしい事実を告げる。
「全員がプロポーズしないと飢え死にするわよ?」
ちょっと待てええぇえ!?
「あんた、鬼か! そこまでするか!」
「喚く問題でもないでしょ。言うは一瞬の恥、言わぬは飢え死にってだけで」
「言わん側のリスクが高すぎるわ!」
自室に入れないのでは外食というわけにもいかない。とはいえ、元を辿ればなんだそんなことかといったくだらない問題なので大事にするわけにもいかないし……
「……やろう、皆」
ルーティはきっと表情を変えて言った。
「言って、皆で美味しいご飯を食べよう!」
「作るの誰だと思ってるんですか?」
リンクが言うとルーティはぎくりと肩を跳ねて苦笑いを浮かべた。