ふしぎなとびら、ひらかれて
「つーか、犯人は面が割れてんだよ!」
ファルコは自身の胸ぐらを引いて襟に留めてあった小型無線に向かって叫んだ。
「おいピーチ!」
「聞こえてるわようるさいわね」
驚くほどあっさりと彼女は返事を返した。
「てめえふざけんな、今度はなんだ!」
「そんなの決まってるじゃない」
無線を通し、ふふんと笑って。
「ただの暇潰しよ」
「何処にいる出てこい!」
「どうどう」
フォックスが後ろから羽交い締めにするが時間の問題だ。
「いいじゃない。真っ昼間から乳繰り合って、それで見るな触れるなネタにするなだなんて酷い拷問だわ。ちょっとくらい付き合いなさいよ」
ぐぬぅ、とファルコが唸った。
「……どうすりゃ部屋に入れるんだ」
ピーチは答えた。
「プロポーズをするのよ」
は?
「扉の内側に特定の音声を認識して鍵を開閉する装置を仕掛けてあるの」
風を薙いでビシィッと擬音。
「ホモだからって結婚とは無縁なんて言わせないわ!」
無線の向こう側で指をさしてピーチは叫ぶ。
「ロックを解除したければプロポーズをするのよ!」