ふしぎなとびら、ひらかれて
妙な間が訪れた。……そして。
「あっ」
何の前触れもなく不意に、ロックの解除される音。
それも、全ての扉が。
「ピーチ?」
「冗談じゃないわよ」
割と辛辣な声が返ってきた。
「貴方の相手役をするくらいならお菓子作りでもしていた方がマシよ」
「随分な言いようだな」
「……食堂の扉も開けておくから」
ぽつりと。
「後で食べに来なさいよね」
無線がぷつりと切れたところでピーチははあっと息を吐き出した。
「どうしたのよ」
サムスは怪訝そうに見つめる。
「ああもう。バッカじゃないの」
「相当お気に召さなかったみたいね」
「……そうじゃないわ」
居合わせた女性組全員がピーチを囲んで顔を見合わせる。
「だって」
プロポーズなんてされたら。
「……この食堂」
シフォンはふふっと笑ってからかった。
「熱がこもって嫌になるわね」
見知らぬ扉が疼く。
開きそう、だけどもう少し。
――このままで。
「……本当、自由奔放なお姫さまだな」
眉を寄せて不完全燃焼、呆れた様子のマリオに。
「兄さんは相変わらずだね……」
もはや涙さえ浮かばせる弟のルイージだった。
end.
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