ふしぎなとびら、ひらかれて




事件です。

……本日未明、何故か僕たち男性陣の部屋の扉が。


開かなくなってしまい、

「なんでだよ!」


声を荒げて扉を蹴ったのはファルコである。

「おいおい、あまり乱暴にするなよ」

困ったように宥めるフォックス。

「駄目だってば!」

然程遠くない場所から聞こえてきた声に振り向けば、銃を取り出し構えようとするウルフをルーティが必死になって止めているところだった。

「参りましたね」

腕を組むリンクはやけに冷静だ。

「兄ちゃん!」

その声にぱっと注目が飛んだ。

見れば、自室の前に拳を構えるドンキーの姿が。

「ええから任しとき!」

足を踏み込み、ぐっと後方へ引いた拳を勢いよく突き出す――衝撃波が風を起こし多量の塵が辺りを包み込んだ。いくら何でも、やり過ぎでは。

「……やったか?」

暫くして塵が晴れた。


無傷。


「嘘やん!?」

やり過ぎなのは、無論、仕掛け人の側である。
 
 
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