悪なるサンタの大作戦!
こうなるはずではなかった。
ピチカから欲しい物を聞き出し、自分はそれをこっそりと購入して……サンタの役を演じるであろうX部隊の誰かに渡せば、それで上手くいくはずだったのに。
「……はー」
どんだけ意地っ張りなんだよ自分は!
あの場で素直に引き下がっていればこうはならなかったんだ。はあ、まさかピチカがあそこまで意地っ張りだったとは。誰に似たんだ、あれ。可愛いけど。
「大丈夫ですか? リーダー」
ちなみに、ここは亜空間にあるダークシャドウの基地。
あのまま居座るにも気まずいので戻ってきてしまったのだ。リビングのソファで溜め息を吐き出すスピカを、ダークウルフは心配そうに見つめる。
「リーダー、勘でいいんじゃなぁい……?」
ダークマルスは隣に腰を下ろして。
「僕は……そうだね、心臓がいいなぁ……子供の、小さいの」
「人が落ち込んでる傍で物騒なことを言うなっ」
とは言いつつも、彼らしい気遣いに少し気が晴れた。気がする。
「すみません」
「何だよ」
「つかぬことをお聞きしますが」
ダークウルフは酷く真面目くさった顔で、
「サンタとは、誰ですか?」
知らないのかよ!
「……リーダー?」
声を上げて突っ込む気にもなれなかった。
――仕方ないことなのだ。彼らダークシャドウは姿形こそX部隊のメンバーと瓜二つだが、兵器として戦闘に関しての知識だけ与えられてきた彼らが、如何にも人間といった一般的な知識を得ているはずもなかったのである。