悪なるサンタの大作戦!
ロックの心配は必要ない。
彼らが正面玄関の鍵を掛けるのは十二時の消灯から十分後。十二時丁度に催眠煙が放出される設定なのだから問題はないはず。スピカは先頭に立って扉を開いた。
「っ!?」
声はどうにか抑えたが。……驚いた。
何がって、エントランスに入ってざっと見渡しただけで説明が付かないほど分かりやすくトラップが仕掛けられていたのである。……成る程、この分だと廊下や各部屋の方も凄そうだ。サンタに恨みでもあるのかと突っ込みたい。
「ねえねえ! これで五分とか無理ゲーです、リーダー!」
「枕元に置くだけの簡単な作業だろ。いちいち怯んでんなよ、行くぞ」
「きゃーかっこいい! ついて行きますですよー!」
「部屋違うだろ!」
彼女、ダークゲムヲがいくら騒ごうとスピカがそれに対して怒鳴ろうと、ここの連中が起きることはない。とはいえ、トラップに引っ掛かった時点で潜入を図ったことはばれたも同然。慎重にならなければいけないことに変わりはない。
「ったく。餓鬼の癖してざっけんじゃねーぞカスが……」
ダークピチューはトラップを躱して進みながら、ぶつぶつ。
「素が出てるわよ」
「あっあらぁ? そんなことないわよぉ!」
「黙れカマ野郎……」
ダークプリンに突っ込まれ、両頬を包みながら訂正したダークピチューだったが、彼は残念ながら男である。ぼそ、と後からダークヨッシーが呟いて。
さて、目的のメンバー達の部屋は二階にある。スピカは数々のトラップを難無く躱して二階に到着すると、振り返った。奴ら、あれで結構苦戦しているらしい。
「なっさけねーヤツ……」
はあ、と溜め息を吐き出して。スピカは小さく吹き出した。