悪なるサンタの大作戦!
言ってみれば、作戦実行の当日まで地獄だった。
此方も仕事が残っているし、なかなか心の内を明かさない連中もいたのでダークルカリオが度々潜入して暴いては買い物。それでいて、サンタ服の縫製。
「……はー」
「休憩しましょうか、リーダー」
ダークウルフは立ち上がり、部屋を後にする。ココアでも淹れに行ったのだろう。
ったく、黒地のサンタ服なんて誰が思いついたんだよ。俺だけど。……それにしても、後何着作ればいいんだっけ。数間違えて多く作りすぎるのは避けたい。
「……あいつら」
スピカはふとカレンダーを見つめて、呟く。
「喜んでくれっかなぁ」
――そしていよいよ、クリスマスイブがやってきた。
「う……」
しまった。自分としたことが、眠ってしまったらしい。
枕元の携帯を手繰り寄せつつ起き上がって、ぎくり。まずい、確か作戦実行は今日の夜中だったよな。プレゼントは一昨日ので最後だったはずだけど――
「お目覚めだな、リーダー」
そう声をかけてきたのはダークマリオ。ベッドの縁に腰を下ろした彼の手元には、最後の一枚と思われるサンタ服が置かれていた。糸を切り、完成。
「あ……わり、眠っちまった」
「ぐっすりだった」
「んなもん自分が一番よく知ってるっての」
ふと目を向けると、同室のダークウルフも眠気には敵わなかったのかカプセルの中で眠っているようだった。あいつには遅くまで付き合わせちまったなぁ。
「……、」
結局こいつだけ、思いつかなかったな。
「リーダー、昼ごはん食べよう」
「もうそんな時間かよ」
スピカは小さく息を吐き出す。ダークウルフは最後まで起きなかった。……