悪なるサンタの大作戦!



ダークシャドウの基地からマスター達の本拠地まではそう遠くない。マスターは適当な研究室の扉を開くと、スピカに入るよう促して。

「随分と狭い部屋に招いたな」
「どうせリビングに入れば、茶も出ないのかとぼやくだろう」

んなこと言わねーよ、とひと睨みして目に付いた丸椅子に腰を下ろす。一方のマスターは扉を閉めると椅子には腰掛けず、台の前に立って試験管を手に取って。

「……頼みがある」

少しの間をあけてスピカは話を切り出した。

「珍しいな。お前が」

マスターは棚から取り出したビーカーに入っていた透明な液体を、別の試験管にそれぞれ半量ずつ注いだ。それから手を翳し、色の違った光の玉を落とす。

それまで透明だった液体が様々な色に光り輝く様子にスピカは思わず見惚れたが、同時に確信した。――創造神である彼に、出来ないはずがない。

「催眠電波を発生させる装置を造ってほしい」

マスターはぴたりと手を止めた。

「……経緯を知りたいな」
「クリスマスだよ。その……ぜ、絶対にわら」
「成る程な」

それだけで事情を察したのか、マスターは作業を再開して。

「とすれば、そう何回も使う代物でもないだろう」
「一回分で構わない。それと」
「図々しい奴だ。まだ物足りないのか」
「これ以上は無理だってんなら、別にいい」

スピカはふいと顔を背けた。そうやって意地を張る様が何となくクレイジーに似ている気がして、マスターは口元に少しの笑みを浮かべた。

「……言ってみろ」
 
 
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