僕らの正義
――エックス邸、食堂。
一日限りのX部隊リーダーを務めることになったスピカは唖然とした顔で掲示板にピンで留められた依頼届を見上げていた。
「おい、オオカミ」
そう呼んだ対象は煙草を吹かせるウルフである。
「本当にこれがX部隊の普段受けている依頼なんだな?」
「そうじゃねえなら何だってんだ」
最もな返しに溜め息ひとつ。
ウルフは加えて口出す様子もなく横目に見つめて。
……マジかよ。
難度がまるで低いもんばっかじゃねえか。これが国のいや世界の誇る特殊防衛部隊様に任せられる仕事なのか……魔物退治や応援要請なんかはまだいい。けれどやれ人探しだ物探しだんなもん警察にでも頼めって話。雑用に関しては人に頼むな寧ろ自分でこなせ。国民が総じて嘗めてかかってるとしか思えない。
それが平和の証ってならまだそれとなく納得もいく。
でもそうじゃない、普段一般人なら目も当てられないような依頼を受けている側の俺ならはっきりと分かる。
――あからさまに扱いがぬるい。
「これなら僕たちにも出来るかな」
スピカは声に釣られてそちらを見た。
「指定小動物の捕獲任務か……」
「だってほら、兎だよ?」
「……ちょっとやってみるか」